「解雇」の三つの型と、認められる条件

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「解雇」の意味

解雇(かいこ)

会社の側から一方的に労働契約を終わらせること。

解雇とは、会社の側から一方的に労働契約を終わらせることです。本人が申し出て辞める退職とは、誰が決めたかという点で決定的に違います。

日本の法律では、解雇には客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が求められるとされています。これを欠く解雇は、権利の濫用として無効とされる枠組みです。

この基準はしばしば「解雇は難しい」と表現されます。実際、会社側が理由を説明できないまま進めた解雇が、後に無効と判断される例があります。

ただし、無効と判断されるまでには時間と手続きが要ります。通告された側から見れば、その間の生活をどうするかという現実の問題が先に来ます。

だからこそ、通告を受けた段階で何を確認し、何を残すかが決定的に重要になります。

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三つの型

解雇は、理由の性質によって三つに分けて考えられています。それぞれ求められる条件が違います。

📐 解雇の三つの型

普通解雇

能力不足や勤務成績の不良、健康上の理由など。

整理解雇

経営上の必要による人員削減。いわゆるリストラ。

懲戒解雇

重大な規律違反への制裁。もっとも重い処分。

普通解雇でまず問われるのは、会社が改善の機会を与えたかです。指導や配置転換を試みず、いきなり解雇に至った場合、相当性を欠くと判断されやすくなります。

整理解雇では、判断の要素が整理されています。人員削減の必要性があるか、解雇を回避する努力を尽くしたか、対象者の選び方が合理的か、手続きが妥当か。この四つが挙げられるのが通例です。

なかでも二つ目が重い意味を持ちます。新規採用の停止、役員報酬の削減、希望退職の募集といった手を尽くしたかが問われます。これらを飛ばして解雇に進むと、必要性そのものが疑われます。

懲戒解雇は制裁なので、就業規則に定めがあり周知されていること、行為と処分が釣り合っていること、手続きを踏んでいることが求められます。詳しくは懲戒処分の記事で扱いました。

三つの型は、必要とされる条件がまったく違います。自分がどの型で通告されているのかを把握することが、対応の出発点になります。制度の運用は会社ごとに異なります。個別の判断が必要な場面では、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署などの窓口で確認してください。

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予告のルール

解雇には、時期に関する定めがあります。

原則として、少なくとも30日前に予告するか、予告に代えて手当を支払うことが求められるとされています。予告の日数が足りない場合、その不足分を手当で埋める形になります。

ただし、この予告は解雇そのものを有効にする手続きではありません。予告さえすれば理由を問わず解雇できる、という意味ではないという点は押さえてください。

また、解雇が禁じられる期間も定められています。業務上のけがや病気による療養の期間とその後の一定期間、産前産後の休業の期間とその後の一定期間などです。

そして、解雇の理由については、請求があれば証明書を交付することが求められるとされています。理由を書面で出してもらう権利があるということです。

口頭で「明日から来なくていい」と言われた場合、まずこの証明書を求めてください。書面がないまま話が進むと、後から経緯を立証できません。

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退職勧奨との違いを見分ける

実務でもっとも混同されるのが、退職を勧められる場面です。

退職勧奨は、会社が退職を勧める行為であって解雇ではありません。応じるかどうかは本人が選べるという点が決定的に違います。

ところが、実際の場面では境目が曖昧に扱われることがあります。「辞めてもらうしかない」「次はないと思ってほしい」といった言い方で、解雇なのか勧奨なのか判然としないまま進む形です。

そのとき確認すべきは一点です。これは解雇の通告なのか、退職を勧めているのか。曖昧なまま退職届を書くと、自己都合による退職として扱われます。

自己都合になると、失業保険の給付制限期間が生じます。生活の立て直しに直接響く違いです。

その場で書類に署名しないでください。持ち帰って内容を確認し、必要なら相談する。時間を置いて不利になる場面は多くありません。

通告を受けたときにやること

順序があります。動揺した状態でも、この順で押さえておくと後が変わります。

第一に、記録を残します。いつ、誰から、どう言われたか。可能であればその場でメモを取り、後からメールで内容の確認を送っておきます。

第二に、解雇理由証明書を求めます。請求があれば交付されるものなので、遠慮する必要はありません。

第三に、就業規則を確認します。どの条項に基づく解雇なのか、手続きは規則どおりか。就業規則は周知されているべき文書です。

第四に、離職票の離職理由欄を確認します。ここが自己都合になっていると、給付の扱いが変わります。離職票の記載には異議を申し立てる手続きがあるとされています。

第五に、相談先を確保します。労働基準監督署、都道府県の労働局、労働組合、弁護士。無料で相談できる公的な窓口があります

試用期間中や有期契約の場合

解雇の枠組みは、雇用の形によって少し変わります。

まず試用期間です。この期間中は本採用後より広い範囲で解約が認められるとされていますが、自由に辞めさせられるという意味ではありません。

採用時に知ることができなかった事実が判明し、引き続き雇うことが適当でないと認められる場合、という枠組みで判断されるとされています。単に期待と違ったというだけでは足りません。

次に有期契約です。期間の途中で解雇するには、やむを得ない事由が必要とされており、無期契約より厳しい扱いになります。

一方、期間が満了して更新しない場合は雇止めと呼ばれ、解雇とは別に扱われます。ただし、更新が繰り返されてきた場合などには、解雇に近い判断の枠組みが及ぶとされています。

そして、一定の要件を満たすと無期契約に転換を申し込める仕組みも定められています。契約の通算期間が関わるため、更新のたびに記録しておく価値があります。

いずれの形でも共通するのは、会社側が理由を説明できる状態にあるかという点です。説明できないまま進む解雇は、後から争点になります。

実務での使い方と例文

通告の性質を確認するとき

解雇なのか勧奨なのかを、その場で明確にします。

例文:
「確認させてください。これは解雇の通告ということでよろしいでしょうか。それとも退職を勧めていただいているという理解でしょうか。取り扱いが変わりますので、はっきりさせていただきたいです」

理由証明書を求めるとき

請求できるものなので、事務的に依頼します。

例文:
「解雇理由証明書の交付をお願いいたします。就業規則のどの条項に基づくものか、また該当すると判断された具体的な事実についても記載いただけますでしょうか」

その場で署名を求められたとき

断るのではなく、持ち帰る形にします。

例文:
「内容を確認したいので、本日は持ち帰らせてください。あらためてご返答いたします。書類の写しをいただけますでしょうか」

💡 解雇で押さえておく点

  • 客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を欠く解雇は、無効とされる枠組み。
  • 普通解雇・整理解雇・懲戒解雇で、求められる条件がまったく違う。
  • 30日前の予告か手当が求められるが、予告すれば解雇できるという意味ではない。
  • 解雇理由証明書は、請求があれば交付されるとされている。まず求める。
  • その場で退職届に署名しない。自己都合になると給付の扱いが変わる。

個別性の高い領域です。通告を受けた場合は、労働基準監督署や労働局の窓口に相談してください。

争うか、切り替えるか

不当だと感じたとき、争うという選択肢があります。ただし、決める前に見ておくべき現実があります。

まず時間です。話し合い、あっせん、労働審判、訴訟と段階があり、解決までに数か月から年単位かかることがあるとされています。

次に費用です。弁護士に依頼する場合の費用と、その間の生活費。無料で相談できる窓口はありますが、代理を依頼すれば費用が生じます。

そして精神的な負担です。争っているあいだ、その件が生活の中心に居座ります。

一方で、争わずに切り替える場合にも考えるべき点があります。離職理由が自己都合になっていると、給付の開始が遅れます。ここは争う争わないと別に、必ず確認してください。

実務的な折衷として、解雇の撤回や金銭による解決で合意する形もあります。あっせんという手続きは、比較的短期間で進む仕組みとして用意されています。

どれを選ぶかは、次の見通しと生活の状況によります。まず相談だけしてから決めるという順序が現実的です。相談の時点では何も確定しません。

相談先としては、労働基準監督署のほか、都道府県労働局の総合労働相談コーナーがあります。日本司法支援センターの窓口も、費用の面での相談に対応しています。

参考にした公的情報

この記事は、次の公的機関が公表している資料をもとに制度の枠組みを整理しています。制度の内容や金額は改正されることがあるため、実際に判断が必要な場面では、リンク先の最新の情報か、担当の窓口で確認してください。

似た言葉との違い

  • 退職勧奨 — 会社が退職を勧める行為。応じるかどうかを本人が選べる点が決定的に違います。
  • 雇止め — 有期契約を更新しないこと。契約期間の満了による終了で、解雇とは法律上の位置づけが異なります。
  • 懲戒処分 — 制裁としての措置全般。けん責から懲戒解雇まで段階があり、解雇はその最も重いものです。
  • 合意退職 — 会社と本人の合意で終わる形。一方的である解雇とは成立の仕方が違います。

会社の側から見た手順

管理職として解雇を検討する立場になる場合もあります。その視点も書いておきます。

第一に、自分の判断だけで進めないことです。人事部門と、必要に応じて外部の専門家を交えるのが通例になります。

第二に、記録です。指導の経過、面談の内容、改善の機会をどう与えたか。あとから作れない記録が、判断の基礎になります。

第三に、順序です。いきなり解雇に至るのではなく、注意、指導、配置転換といった手段を先に検討したかが問われます。

第四に、説明できるかどうかです。どの規定に基づき、どんな事実によるのか。ここが曖昧なまま進めると、後から覆るリスクを抱えます。

そして、解雇が無効と判断された場合の影響は小さくありません。その間の賃金の扱いを含め、会社側の負担が大きくなります。

手続きを丁寧に踏むことは、本人のためであると同時に、組織を守ることでもあります。

まとめ

解雇とは、会社の側から一方的に労働契約を終わらせることです。客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を欠く解雇は、権利の濫用として無効とされる枠組みになっています。

型は三つあり、普通解雇では改善の機会を与えたか、整理解雇では解雇を回避する努力を尽くしたか、懲戒解雇では規則の定めと手続きが問われます。自分がどの型で通告されているかの把握が出発点です。

予告は30日前か手当が求められますが、予告すれば理由を問わず解雇できるという意味ではありません。

通告を受けたら、記録を残し、解雇理由証明書を求め、就業規則を確認し、離職票の記載を見る。その場で退職届に署名しないでください。

📋 この記事の要点

  • 解雇は、会社の側から一方的に労働契約を終わらせること
  • 合理的な理由と相当性を欠く解雇は、無効とされる枠組みがある
  • 普通・整理・懲戒の三つの型で、求められる条件がまったく違う
  • 解雇理由証明書は請求があれば交付される。まず書面を求める
  • その場で退職届に署名しない。自己都合だと給付の扱いが変わる

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