「育児休業」は法律上の権利、休職とは違う

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「育児休業」の意味

育児休業(いくじきゅうぎょう)

子を養育するために、法律に基づいて取得できる休業。

育児休業とは、子を養育するために、法律に基づいて取得できる休業です。育児・介護休業法に定めがあります。

ここが休職との決定的な違いです。休職は会社が就業規則で独自に設けている取り扱いですが、育児休業は法律上の権利です。

したがって、制度がない会社という状態は成り立ちません。要件を満たして申し出れば、会社は拒めないのが原則とされています。

就業規則に記載がない場合でも、法律の定めが適用されます。「うちには育休はない」という説明は、制度の理解として誤りです。

そのうえで、実際に取得できるかは要件と手続きの問題になります。ここを押さえておくと、話が具体的に進みます。

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対象と期間

対象は原則として、子を養育する労働者です。性別を問わず取得できます。

📐 確認しておく三つの点

対象になるか

有期契約の場合、要件が別に定められている。

いつまで取れるか

原則として子が一定の年齢に達するまで。延長の仕組みもある。

分割できるか

分割して取得する仕組みや、出生直後の休業の枠組みがある。

期間や分割の仕組みは、法改正が続いてきた分野です。数年前の知識で判断すると実態と合わないおそれがあります。

とくに、出生直後の時期に取得できる枠組みや、分割して取る仕組みは近年整備された部分です。父親が取得しやすくすることを狙った改正が重ねられてきました。

有期契約で働いている場合、対象になるかどうかに別の要件が定められています。契約の期間や更新の見込みが関わるため、個別に確認が要ります。

また、労使協定によって対象から除かれる範囲が定められている場合があります。勤続期間が短い場合などが該当することがあります。

制度の細部は改正されるため、申し出を検討する時点の内容を確認してください。制度の運用は会社ごとに異なります。個別の判断が必要な場面では、勤務先の担当部署か、所轄の労働基準監督署などの窓口で確認してください。

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給付と社会保険

休業中の収入と負担についても、仕組みが用意されています。

まず、休業中の賃金です。会社に支払い義務は定められておらず、無給とする会社が多く見られます。

その代わり、雇用保険から給付を受けられる仕組みがあるとされています。要件を満たす場合に、休業した期間について支給される形です。

次に社会保険料です。育児休業の期間について、健康保険と厚生年金の保険料が免除される仕組みが定められているとされています。免除されても、年金の記録上は不利にならない扱いがあります。

この点は休職と大きく違います。会社独自の休職では保険料の免除は原則としてなく、無給でも負担が生じます。

手続きは会社を通じて行うのが通例です。給付の申請時期や必要書類は、担当部署に確認してください。

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申し出るときの順序

法律上の権利ではありますが、伝え方と時期で職場の受け止めは変わります。

第一に、申し出の期限を確認します。原則として一定期間前までに申し出ることとされており、直前の申し出だと開始日が後ろにずれる場合があります

第二に、期間の見込みを伝えます。いつからいつまでかが分かると、会社は要員の手配ができます。

第三に、引き継ぎの計画です。担当案件の状況、連絡先、判断が必要な事項。これを整理しておくと、復帰後の負担も減ります。

第四に、復帰の見通しです。時期と、戻り方の希望。時短勤務を併用できる制度が用意されている場合があります。

なお、育児休業の申し出や取得を理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをすることは禁じられているとされています。

職場側が用意しておくこと

取得する側だけでなく、受け入れる側の視点も書いておきます。管理職として直面する場面があるためです。

第一に、申し出を受けたら制度の内容を正確に確認することです。会社独自の判断で断ることはできません。要件を満たす申し出は、原則として拒めないとされています。

第二に、要員の手配です。期間の見込みが分かった段階で、代替の体制を考え始めます。ここが遅れると、本人が申し出にくい空気を作ります。

第三に、業務の棚卸しです。特定の人しか分からない仕事が残っていること自体が、組織の弱さにあたります。休業を機に整理する機会と捉える見方もできます。

第四に、復帰後の設計です。元の役割に戻すのか、時短勤務を併用するのか。戻ってから考えると、本人も周囲も動きにくくなります。

そして、取得を理由とする不利益な取り扱いは禁じられているとされています。評価や配置において、休業した事実を不利に扱わない設計が要ります。

実務での使い方と例文

最初に相談するとき

時期の見込みを添えると、話が具体的になります。

例文:
「育児休業の取得について相談させてください。出産予定は◯月で、休業は◯月頃からを考えております。申し出の期限と、必要な書類を教えていただけますでしょうか」

引き継ぎを提案するとき

自分から計画を出すと、調整が進みます。

例文:
「担当している案件の一覧と、それぞれの状況をまとめました。引き継ぎ先のご相談をさせていただければと思います。私からの説明は今月中に済ませられる見込みです」

復帰の相談をするとき

希望と、調整できる幅を両方伝えます。

例文:
「◯月からの復帰を予定しております。当面は短時間勤務の制度を利用できればと考えておりますが、可否と手続きについてご相談させていただけますでしょうか」

💡 育児休業で押さえておく点

  • 法律に根拠のある権利。会社の裁量による休職とは性格が違う。
  • 就業規則に記載がなくても、法律の定めが適用される。
  • 性別を問わず取得できる。有期契約の場合は別の要件がある。
  • 賃金は無給とする会社が多いが、雇用保険からの給付の仕組みがある。
  • 社会保険料が免除される仕組みがある。休職との大きな違い。

期間や分割の仕組みは改正が続いています。検討する時点の内容を確認してください。

復帰の前に決めておくこと

休業に入るときより、戻るときのほうが調整が難しくなることがあります。

まず、勤務の形です。フルタイムに戻すのか、短時間の制度を使うのか。保育の預け先が決まる時期と、復帰の時期は連動します

次に、時間の制約です。送り迎えがある場合、始業と終業の時刻に制約が生まれます。フレックスタイム制が使える職場なら、時間を短くせずに調整できる場合があります。

三つ目が、緊急時の対応です。子の急な発熱で早退や欠勤が生じます。看護のための休暇の制度が定められているため、使えるかを確認してください。

四つ目が、評価の扱いです。時間の制約があるなかで、何をもって評価されるのか。人事考課の基準を復帰前に確認しておくと、認識のずれが減ります。

そして、一度で完璧に戻そうとしないことです。数か月かけて戻す前提で計画を立てるほうが、結果として早く安定します。

これらは会社の制度によって選べる幅が変わります。復帰の相談を始める段階で、使える制度を一覧にしておいてください。

参考にした公的情報

この記事は、次の公的機関が公表している資料をもとに制度の枠組みを整理しています。制度の内容や金額は改正されることがあるため、実際に判断が必要な場面では、リンク先の最新の情報か、担当の窓口で確認してください。

似た言葉との違い

  • 産前産後休業 — 出産の前後に取得する休業。育児休業とは根拠となる法律も期間も異なります。
  • 休職 — 会社が就業規則で設ける取り扱い。法律上の権利である育児休業とは性格が違います。
  • 介護休業 — 家族の介護のために取得する休業。同じ法律に定めがありますが、対象と期間が異なります。
  • 時短勤務 — 労働時間を短くする制度。休業ではなく働き続ける形である点が違います。

制度が改正され続けている分野

この領域は、ここ数年で繰り返し改正が入っています。情報の鮮度がとくに重要になります。

変更が加えられてきたのは、取得できる期間の区切り方、分割して取る仕組み、出生直後に取得できる枠組み、そして会社に求められる措置の範囲です。

会社側についても、制度を個別に周知して取得の意向を確認することや、取得の状況を公表することが求められる範囲が広がってきました。

そのため、先輩の取得例がそのまま自分に当てはまるとは限りません。数年前の事例は、制度が違う時点のものである可能性があります。

調べる際は、公表されている時点が分かる資料を見てください。厚生労働省の案内には改正の内容が整理されています。

社内の説明が古い情報のままになっている場合もあります。その場合、法律の定めが優先します。

制度が変わり続けているのは、取得しにくい状態が続いてきたことの裏返しでもあります。使える制度は使ってよい、というのが立法の方向です。

周囲の受け止めをどう扱うか

制度としては権利であっても、職場の空気は別に存在します。ここを無視すると、戻ってから働きにくくなります。

まず、早めに伝えることです。直前の申し出は、周囲の段取りを崩します。時期の見込みが立った段階で共有するほうが、結果として理解を得やすくなります。

次に、引き継ぎの質です。誰が引き受けるにせよ、資料が整理されていれば負担は小さくなります。ここに手を抜くと、休業そのものへの不満に転じます。

三つ目に、休業中の情報の受け取り方です。完全に切るのか、月に一度は状況を聞くのか。事前に決めておくと、双方が動きやすくなります。

そして、戻ったあとに返せばよいという構えでよいと思います。負い目を抱えたまま働くより、そのほうが長く続きます。

もし取得を理由に不利益な扱いを受けた場合は、都道府県労働局の窓口に相談できます。制度として禁じられている事項です。

まとめ

育児休業とは、子を養育するために法律に基づいて取得できる休業です。育児・介護休業法に定めがあり、会社が独自に設ける休職とは性格が違います。

就業規則に記載がなくても法律の定めが適用されるため、制度がない会社という状態は成り立ちません。性別を問わず取得できます。

賃金は無給とする会社が多いものの、雇用保険からの給付と社会保険料の免除という仕組みがあります。ここが休職との大きな違いです。

申し出には期限があるので、時期の見込みが立った段階で相談してください。取得を理由とする不利益な取り扱いは禁じられているとされています。

📋 この記事の要点

  • 育児休業は法律に根拠のある権利。休職とは性格が違う
  • 就業規則に記載がなくても、法律の定めが適用される
  • 性別を問わず取得できる。有期契約には別の要件がある
  • 雇用保険からの給付と、社会保険料の免除の仕組みがある
  • 申し出には期限がある。見込みが立った段階で相談する

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