「内定承諾書」の意味
内定承諾書(ないていしょうだくしょ)
企業からの内定を受け入れる意思を、書面で示すもの。
内定承諾書とは、企業からの内定を受け入れる意思を書面で示すものです。入社承諾書、誓約書といった名称で運用している企業もあります。
企業がこれを求める理由は単純で、辞退を減らすためです。採用には時間も費用もかかっており、内定を出した人が来ないと計画が崩れます。書面にすることで、意思の確認と心理的な区切りを作っています。
提出を求められる時期は、内定の通知後です。条件のすり合わせを行うオファー面談のあとに渡されることが多く、返送の期限が添えられます。
記載内容は、内定を承諾する旨と、入社予定日、氏名と署名が中心です。企業によっては、在職中の会社への退職手続きを進める旨や、経歴に虚偽がないことの確認が加わります。
提出する側からすると、この一枚がどれだけの拘束力を持つのかが最大の関心事になります。そこを整理しておきます。
提出したあと、辞退できるのか
実務でよく聞かれる質問です。結論としては、辞退という選択肢が完全に閉じるわけではないと一般には解されています。
背景として、内定の段階ですでに労働契約が成立していると解される場合があります。ただしその場合でも、労働者の側から契約を終了させる道は残されているというのが一般的な理解です。
📐 内定承諾書をめぐる3つの層
法的な位置づけ
内定で労働契約が成立していると解される場合がある。ただし解釈は事案による。
辞退の可否
完全に閉じるわけではないとされる。時期と伝え方で影響が変わる。
実務上の影響
同業界なら評判が残る。エージェント経由なら関係にも及ぶ。
ただし、個別の事案がどう扱われるかは、書面の文言と経緯によって変わります。この記事のような一般的な解説で自分のケースを判断することはできません。争いになりそうなときは個別の事案は労働基準監督署の総合労働相談コーナーや、弁護士・社会保険労務士に相談してください。
法的な話とは別に、実務上の影響も考える必要があります。同じ業界で転職を重ねるなら、辞退した企業の担当者と将来どこかで再会する可能性があります。
転職エージェント経由で応募している場合はさらに直接的です。エージェントは企業との関係で仕事をしているため、辞退が続けば紹介の姿勢に影響することもあり得ます。
だからといって、納得できない条件で入社すべきという話ではありません。入社してすぐ辞めるほうが、双方にとって損失は大きくなります。伝えるなら早く、丁寧に、というのが実務の原則です。
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複数の選考が並行しているとき、返事を待ってほしい場面が出てきます。ここは相談していい部分です。
一般的には、一週間程度であれば応じる企業が多いようです。二週間を超えると、採用計画への影響が出てくるため難しくなります。
頼み方には要点があります。理由を伏せたまま延長だけを求めると、企業側は不安になります。他社の選考が残っていることを正直に伝えたほうが、かえって調整に応じてもらえます。
逆に、期限を伝えずに引き延ばすのは避けたほうがよいでしょう。企業は次点の候補者を待たせている可能性があり、判断が遅れるほど関係が悪くなります。
なお、待ってもらうあいだに現職への退職の申し出を進めるかどうかは、慎重に判断してください。承諾書を出す前に退職願を提出してしまうと、内定が流れたときに戻る場所を失います。
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比べる材料が一社分しかないと、その条件が良いのか悪いのか判断できません。同じ職種の求人や企業ごとの評判を見ておくと、承諾するかどうかを自分の基準で決められます。
複数の内定をどう扱うか
幸運な状況に見えますが、実際にはかなり消耗します。比べる軸が揃っていないためです。
整理の仕方としては、条件を同じ表に並べるのが確実です。年収は固定残業代を引いた実質で、労働時間は所定の時間数で、評価の仕組みは改定の回数と基準で。単位を揃えないと比較になりません。
そのうえで、金額以外の軸も入れます。任される範囲、一緒に働く人、通勤や働き方。数字にならない部分ほど、入社後の満足度を左右します。
決められないときは、三年後に何が語れるようになっているかで比べる方法があります。どちらの環境のほうが、職務経歴に書ける行が増えるか。この問いは、目先の条件より長い射程を持ちます。
辞退する側の企業には、決まった時点ですぐ連絡します。引き延ばして得することは何もありません。
実務での使い方と例文
返事の期限を延ばしてもらうとき
正直に事情を伝えるほうが通ります。曖昧にすると、意欲がないと受け取られます。
例文:
「内定のご連絡をありがとうございます。前向きに検討しております。恐れ入りますが、もう一社の選考が来週前半に結果が出る予定のため、◯月◯日までお返事をお待ちいただくことは可能でしょうか」
承諾するとき
承諾の連絡は、入社日と手続きの確認をセットにすると次が早く進みます。
例文:
「内定をお受けしたく、承諾書を返送いたしました。入社日は◯月◯日でお願いいたします。現職の退職手続きを進めてまいりますので、必要な書類がございましたらご指示ください」
やむを得ず辞退するとき
理由を細かく説明する必要はありませんが、決定であることは明確に伝えます。曖昧にすると相手が期待を残します。
例文:
「内定をいただきながら誠に恐縮ですが、熟慮の結果、今回は辞退させていただきたくご連絡いたしました。お時間を割いていただいたにもかかわらず、このような形となり申し訳ございません」
在職中の人が踏む順序
在職しながら転職活動をしている場合、手続きの順序を間違えると身動きが取れなくなります。原則はひとつです。
内定を承諾してから、現職に退職を申し出る。この順序を逆にすると、内定が流れたときに戻る場所を失います。
気の早い人ほど、内定の内示を受けた段階で退職の話を始めてしまいます。気持ちは分かりますが、承諾書を出す前の段階では、まだ条件の確認が済んでいません。
順序を守ったうえで、入社日は逆算して決めます。現職の就業規則が定める申し出の期限、引き継ぎに必要な期間、そして残っている年次有給休暇の日数。これらを足した先に、現実的な入社日があります。
有給の残日数を計算に入れ忘れると、日程が合わなくなります。最終出社日と退職日は別の日付です。この違いは有給消化の記事で扱いました。
入社日を先に約束してしまうと、引き継ぎが雑になります。辞め方が雑だと、同じ業界で再会したときに響きます。急ぐ理由が本当にあるのかは、一度立ち止まって考える価値があります。
エージェント経由の場合
転職エージェントを使っている場合、返事を急かされることがあります。この背景を理解しておくと、受け止め方が変わります。
エージェントは、採用が決まったときに企業側から報酬を受け取る仕組みで動いています。だから決まってほしいという動機が働きます。これは不正でも何でもなく、立場上そうなっているというだけの話です。
助言は有用ですが、最終的な判断は本人のものです。急かされていると感じたら、判断の材料が揃っているかを自分で点検してください。労働条件通知書は受け取ったか、内訳は確認したか、他社と同じ単位で比べたか。
複数のエージェントを使っている場合は、同じ企業に重複して応募しないよう気をつけます。管理が混乱すると、企業側の心証にも影響します。
入社日までにやっておくこと
承諾から入社までの期間は、思ったより短く感じます。やることを並べておくと慌てずに済みます。
現職側では、退職の申し出、引き継ぎ資料の作成、取引先への挨拶、貸与品の返却。特に引き継ぎ資料は、後任が決まっていなくても作れます。個人宛のメモではなく手順書として書いておけば無駄になりません。
転職先からは、入社手続きの書類が届きます。年金手帳や雇用保険被保険者証など、前職から受け取る書類が必要になることもあるため、退職時に何をもらえるのかを先に確認しておきます。
この時期に手を抜くと、辞めた会社と入る会社の両方に印象が残ります。どちらも同じ業界であれば、数年後に効いてくる可能性があります。
入社日の直前に有給をまとめて取る場合、その期間は現職に在籍したままです。転職先の入社手続きと日程が重ならないよう、退職日と入社日の関係だけは早めに確定させておいてください。
💡 内定承諾書を出す前に
- 労働条件通知書を受け取り、賃金の内訳と業務内容を確認しておく。
- 返事の期限は相談できる。一週間程度なら応じる企業が多い。
- 待ってもらうあいだに退職を申し出るのは慎重に。戻る場所を失う。
- 複数内定は条件を同じ表に並べる。年収は固定残業代を引いた実質で比べる。
- 辞退の可否は書面の文言と経緯による。判断がつかないときは個別の事案は労働基準監督署の総合労働相談コーナーや、弁護士・社会保険労務士に相談してください。
似た言葉との違い
- 内定通知書 — 企業から候補者へ採用の意思を伝える書面。承諾書はそれに応じる側が出すものです。
- 労働条件通知書 — 働く条件を明示する書類。承諾の意思表示とは目的が異なります。
- 雇用契約書 — 双方が契約内容に合意したことを示す書類。入社日前後に交わすのが一般的です。
- 誓約書 — 秘密保持など個別の約束を記す書面。内定承諾と兼ねている企業もあります。
まとめ
内定承諾書とは、企業からの内定を受け入れる意思を書面で示すものです。企業が求める理由は辞退を減らすことにあり、返送の期限が添えられるのが通例です。
提出後の辞退については、選択肢が完全に閉じるわけではないと一般には解されています。ただし個別の事案は書面の文言と経緯で変わるため、一般的な解説では判断できません。
法的な話とは別に、実務上の影響もあります。同じ業界なら担当者と再会する可能性があり、エージェント経由なら関係にも及びます。伝えるなら早く、丁寧に、が原則です。
返事の期限は相談して構いません。一週間程度なら応じる企業が多く、他社の選考が残っていることを正直に伝えたほうが調整してもらえます。ただし、待ってもらうあいだに現職へ退職を申し出るのは慎重に判断してください。
📋 この記事の要点
- 内定承諾書は、内定を受け入れる意思を書面で示すもの
- 提出後の辞退は完全に閉じるわけではないとされるが、事案による
- 法的な話とは別に、業界内での評判やエージェントとの関係にも影響する
- 返事の期限は相談できる。理由を伏せず正直に伝えるほうが通る
- 待ってもらうあいだに現職へ退職を申し出るのは慎重に
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