「リファレンスチェック」の意味と断れるのか

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「リファレンスチェック」の意味

リファレンスチェック(reference check)

採用選考で、候補者を知る第三者に働きぶりを照会すること。

リファレンスチェックとは、採用の選考過程で、候補者をよく知る第三者に働きぶりを照会することです。referenceは照会先や身元保証人を意味する語で、英語圏の採用では古くから一般的な手続きとして行われてきました。

照会先になるのは、前職や現職の上司、同僚、取引先など、実際に一緒に働いた経験のある人です。候補者本人が推薦者として名前を挙げ、採用側がその人に連絡を取る形が基本になります。

日本では外資系企業やスタートアップを中心に広がり、近年は管理職や専門職の採用で用いられる場面が増えています。面接だけでは分からない実際の働き方を確かめるのが目的です。

面接は本人の自己申告で成り立っています。話し方が上手な人は実力以上に見え、口下手な人は実力より低く見える。この偏りを、一緒に働いた人の証言で補正しようというのがこの手続きの発想です。

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いつ、何を聞かれるのか

実施されるタイミングは、選考の終盤が一般的です。内定を出す直前、あるいは内定を出したうえで入社までのあいだ、という形が多く見られます。全候補者に行うのではなく、絞り込んだ相手に対して行うのがふつうです。

📐 照会で聞かれやすい内容

在籍の事実

在籍期間・役職・担当業務。履歴書の記載と食い違いがないか。

働きぶり

強みと課題、チームでの動き方、どんな成果を出したか。

一緒に働くとしたら

また働きたいか、どんな環境で力を発揮するか。

聞かれるのは事実の確認と、働き方の傾向です。人格の評価ではなく、どういう環境で力を発揮する人かという情報を集めるのが本来の趣旨とされています。

照会は電話や面談で行われる場合もあれば、専用のサービス上でアンケート形式に回答してもらう形もあります。近年は後者が増えており、推薦者の負担は以前より軽くなっています。

紛らわしいのがバックグラウンドチェックです。こちらは経歴や資格の真偽、反社会的勢力との関係の有無など、事実の裏取りに重点があります。人物評価を集めるリファレンスチェックとは目的が異なります。

いずれにせよ、本人の同意なく現職の職場に連絡されるのではないかという不安が、この手続きへの抵抗のほとんどを占めています。実務上は候補者が推薦者を指定するのが原則であり、勝手に現職へ連絡が行く形は一般的ではありません。

個人情報を扱う手続きである以上、本人の同意を取ったうえで進められるのが通常の運用です。案内された内容に疑問があれば、誰にどの範囲で聞くのかを確認してから同意するかを決めて構いません。

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断れるのか、どう備えるのか

同意を求められる手続きである以上、断るという選択肢自体は存在します。ただし選考の一部として設定されている場合、断れば選考が進まない可能性があるのも現実です。

そのため実務では、全面的に断るより範囲を相談するほうが現実的です。現職には知られたくないが、二つ前の職場の上司であれば構わない。こうした調整に応じる企業は少なくありません。

備えとして効くのは、選考が始まってからの対策ではありません。推薦者になってくれる人がいるかどうかは、日頃の働き方の結果です。辞め方を含めて、関係を切らずに離れているかが効いてきます。

その意味で、退職の進め方はこの手続きと地続きです。引き継ぎを放り出して去った職場に、推薦を頼むことはできません。退職願を出す段階からの振る舞いが、数年後の選考に影響することがあります。

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実務での使い方と例文

推薦者を依頼するとき

依頼される側にとっては手間のかかる話です。何を聞かれるのか、どれくらい時間がかかるのかを先に伝えると、引き受けてもらいやすくなります。

例文:
「ご無沙汰しております。現在、転職の選考を受けており、最終段階でリファレンスの依頼をいただきました。◯◯さんに推薦者をお願いできないでしょうか。所要は15分ほど、当時の担当業務と働き方についての内容と伺っています」

実施を案内されたとき

不安があるなら、確認してから同意すれば足ります。黙って受けて後から慌てるより、先に条件を揃えるほうが安全です。

例文:
「リファレンスの件、承知しました。一点だけ確認させてください。現職にはまだ退職の相談をしておりませんので、前職の上司二名にお願いする形でも差し支えないでしょうか」

推薦者を引き受ける側になったとき

頼まれる立場になることもあります。事実と異なることを言う必要はなく、印象ではなく具体的な場面を挙げるほうが、本人にとっても有益です。

例文:
「一緒に働いていたのは2年間で、主に企画の立ち上げを担当していました。仕様が固まる前の段階から動けるタイプで、関係者の調整を任せられる方でした。逆に、手順が決まった定型業務では物足りなさを感じていたように見えます」

💡 リファレンスチェックで押さえておきたい点

  • 実施は選考の終盤が一般的。全員ではなく絞り込んだ候補者に行われる。
  • 推薦者は候補者が指定するのが原則。勝手に現職へ連絡が行く形は一般的ではない。
  • 不安があれば、誰にどの範囲で聞くのかを確認してから同意するかを決めてよい。
  • バックグラウンドチェックとは目的が違う。あちらは経歴や資格の裏取りが中心。
  • 本当の準備は選考時ではなく、日頃の働き方と辞め方にある。

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日本で広がってきた背景

この手続きが日本でも使われるようになった理由は、採用の失敗が高くつくようになったことにあります。中途採用の比重が増え、入社後に合わないと分かったときの損失が大きくなりました。

特に管理職や専門職では、一人の採用が組織全体に与える影響が大きくなります。面接の数回だけで判断するのは心もとない、という感覚が採用側にあります。

採用される側にとっても、悪い話ばかりではありません。面接で緊張してうまく話せなかった人が、一緒に働いた人の証言によって正当に評価されることもあります。自己申告だけで測られる不利を、第三者の情報が補正するという面があります。

もうひとつの背景に、働き方の変化があります。副業や業務委託を含めた関わり方が増え、正社員としての在籍歴だけでは実像がつかみにくくなりました。誰と何をしたかを直接聞く手続きの価値が上がっています。

推薦者の選び方

誰に頼むかは、この手続きで最も考える価値のある部分です。役職が高い人を選べばよいというものではありません。

基準になるのは、自分の仕事を具体的に語れる人かどうかです。肩書きが立派でも、実際の働きぶりを知らない人では中身のある話になりません。近くで一緒に手を動かした相手のほうが、はるかに有効です。

可能であれば、違う角度から見ていた二人を選ぶとよいでしょう。直属の上司と、他部署で協働した同僚。立場が違う二人の話が一致すれば、それだけで説得力が生まれます。

依頼するときは、応募先と職種を伝えておくと相手も話しやすくなります。どういう文脈で聞かれるのかが分かっていれば、的外れな答えになりません。

今の職場に知られたくない場合

最も多い不安がこれでしょう。在職中の転職活動では、現職に動きを知られることが直接の不利益につながりかねません。

実務では、前職の関係者を推薦者とする形で調整するのが一般的です。現職しか職歴がない場合は、退職の意思を伝えたあとに実施時期をずらす相談もできます。

入社後の立ち上がりを考えれば、採用側もこちらの事情を無視はしません。オンボーディングの設計まで含めて考えている企業ほど、入社前の段取りにも配慮があります。

なお、入社してからの一定期間は適性を見る期間として設定されていることが多く、この点は試用期間の記事で扱っています。照会はその前段階の確認にあたる、と位置づけると全体像がつかみやすくなります。

似た言葉との違い

  • バックグラウンドチェック — 経歴や資格の真偽など事実の裏取りが中心。人物評価を集めるリファレンスチェックとは目的が異なります。
  • 身元保証 — 入社時に保証人を立てる日本の慣行。選考の判断材料ではなく、入社後の手続きにあたります。
  • 推薦状 — 推薦者が書面で評価を記すもの。採用側から質問する照会型とは、情報の集め方が違います。
  • リファラル採用 — 社員の紹介で候補者を集める採用手法。名前は似ていますが、選考の照会とは別の話です。

聞かれて困る過去がある場合

前職で衝突した相手がいる、成果を出せなかった時期がある。こうした事情を抱えていると、この手続きに不安を覚えるのは自然なことです。

基本の考え方は、隠すより先に自分から説明しておくことに尽きます。照会で出てきた話と本人の説明が食い違うと、内容そのものより食い違ったことのほうが問題になります。

先に伝えてあれば、同じ話が出てきても確認で終わります。順序を変えるだけで、扱われ方がまったく違ってきます。

また、うまくいかなかった経験そのものが減点になるとは限りません。何が起きて、そこから何を変えたのかを語れる人のほうが、順風満帆だと主張する人より信用されることもあります。

推薦者が見つからないとき

前職と円満に別れていない、会社が既に存在しない、業務委託で働いていて上司にあたる人がいない。こうした事情で推薦者を立てにくい場合もあります。

この場合は、採用側に事情を先に伝えるのが現実的です。取引先や協業相手など、社内の上司以外を推薦者として認める企業も少なくありません。

提出できないことを黙っていると、選考の終盤で止まります。早い段階で相談しておけば、代わりの方法を一緒に探してもらえる可能性があります。

まとめ

リファレンスチェックとは、採用の選考過程で、候補者をよく知る第三者に働きぶりを照会することです。面接だけでは分からない実際の働き方を確かめる目的で行われ、日本でも管理職や専門職の採用を中心に広がっています。

実施は選考の終盤で、推薦者は候補者が指定するのが原則です。現職に勝手に連絡が行くのではないかという不安が抵抗の大半を占めますが、本人の同意を取って進めるのが通常の運用にあたります。

断る選択肢はありますが、選考が進まなくなる可能性はあります。全面的に断るより、誰に聞くかの範囲を相談するほうが現実的です。そして本当の備えは、選考が始まってからではなく、日頃の働き方と辞め方のほうにあります。

📋 この記事の要点

  • リファレンスチェックは、候補者を知る第三者に働きぶりを照会する手続き
  • 実施は選考の終盤。絞り込んだ候補者に対して行われるのが一般的
  • 推薦者は候補者が指定するのが原則。同意を取って進められる
  • 不安があれば、誰にどの範囲で聞くかを確認してから判断してよい
  • 準備は選考時ではなく日頃の働き方と辞め方。関係を切らずに離れておく

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