「副業」は就業規則でどこまで認められるか

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「副業」の意味

副業(ふくぎょう)

本業とは別に収入を得る仕事。兼業とほぼ同義で使われる。

副業とは、本業とは別に行い、収入を得る仕事のことです。兼業とほぼ同じ意味で使われ、企業の規程では「副業・兼業」と併記されることも多くあります。

形はさまざまです。他社での雇用、業務委託、フリーランスとしての受注、物販、不動産の賃貸。雇用されるかどうかで扱いが変わる点が実務では重要になります。

近年、副業を認める企業が増えました。国が示したガイドラインの影響もあり、就業規則の改定が進んでいます。とはいえ、すべての企業が認めているわけではありません。

働く側の動機も一様ではありません。収入を増やしたい人もいれば、本業では得られない経験を積みたい人、独立の準備をしたい人もいます。

20代から30代では、転職の手前の選択肢として副業を考える人が増えています。辞める前に外の仕事を試せるという点で、転職とは別の意味を持つようになりました。

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就業規則をどう読むか

始める前に必ず確認すべきなのが、勤務先の就業規則です。書かれ方によって、取れる行動が変わります。

📐 副業に関する定めの三つの型

原則禁止

会社の許可なく他の業務に従事してはならない、という定め方。

許可制

事前に申請し、承認を得れば可能。判断の基準が示されることもある。

届出制

事前に届け出れば可能。承認までは求められない。

原則禁止と書かれていても、あらゆる副業が一律に禁じられると解されるとは限りません。勤務時間外の行動をどこまで制約できるかには限度があるという考え方があるためです。

とはいえ、規程に反する行為であることは変わりません。就業規則に定めがある以上、社内の手続きとしては問題になり得ます。

許可制の場合は、申請の窓口と必要な情報を確認します。就業先の名称、業務の内容、稼働の時間帯。これらを聞かれるのが通常です。

会社が制限をかける理由も知っておくと、申請が通りやすくなります。主なものは三つで、本業に支障が出ないか、競合にあたらないか、情報が漏れないかという観点です。

二つ目は特に重要です。同業での副業は、在職中の競業として問題になり得ます。この考え方は競業避止義務の記事で扱いました。

逆に言えば、この三点をクリアしている副業は、申請の説明がしやすくなります。稼働は週末のみ、業種は本業と無関係、情報の接点なし。こう説明できれば、判断は通りやすくなります。

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会社に知られるのはどんなときか

実務でよく聞かれる点です。制度の仕組みから説明します。

住民税は、前年の所得にもとづいて計算され、本業の給与から天引きされるのが一般的です。副業の所得があると住民税の額が変わるため、本業の給与額と釣り合わない税額が会社に通知されることがあります

確定申告の際に、住民税の徴収方法を選べる場合があります。自分で納付する方法を選べば、副業分が本業の会社を経由しなくなる形です。ただし、所得の種類によって選択できないこともあります。

また、副業先で雇用される場合は社会保険の扱いが関わってきます。一定の条件を満たすと手続きが必要になり、この経路で把握される可能性もあります。

いずれにせよ、隠すことを前提に始めるより、規程を確認して正面から進めるほうが安全です。発覚したときの不利益は、副業で得られる収入より大きくなりがちです。

税の具体的な扱いは所得の種類や金額によって変わります。判断が必要な場合は税務署や税理士に確認してください。

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始める前に決めておくこと

収入だけを目的にすると、時間の切り売りになりがちです。始める前に、何のためにやるのかを決めておくと選ぶ仕事が変わります。

経験を目的にするなら、本業では触れない領域を選ぶ価値があります。社内では任されない役割を、外で先に経験してしまうという使い方です。

独立の準備なら、顧客を自分で取る経験が要ります。紹介された仕事をこなすだけでは、独立後に必要な力が身につきません。

時間の配分も先に決めておきます。本業に支障が出ると、規程上も実態上も問題になります。週に何時間までと上限を決めてから始めるほうが長続きします。

そして、本業の評価との関係も意識しておく価値があります。副業をしていること自体が評価に影響する職場もあり得ます。この点は人事考課の仕組みと合わせて考えると見通しが立ちます。

実務での使い方と例文

就業規則を確認するとき

人事に直接聞くのが早道です。副業を考えていると伝えることに抵抗があるなら、制度の確認という形で尋ねれば構いません。

例文:
「就業規則の副業に関する定めについて教えてください。許可制と届出制のどちらでしょうか。申請が必要な場合、どのような情報を提出することになりますか」

申請するとき

会社が気にする三点、つまり本業への支障、競合、情報の扱いを先に潰しておくと通りやすくなります。

例文:
「副業の許可を申請いたします。内容は週末の講座運営で、稼働は土日の計8時間程度を予定しています。業種は教育分野で当社の事業とは競合せず、業務上の情報を用いることもありません」

断られたとき

理由を確認しておくと、条件を変えて再申請できることがあります。感情で応じず、条件の話にします。

例文:
「承知しました。差し支えなければ、判断の理由を教えていただけますでしょうか。稼働時間や業務の内容を調整すれば認められる余地があるようでしたら、その条件を伺いたいと考えております」

副業の収入が続くようになると、税の扱いを整える必要が出てきます。一定の規模になれば開業届を出して事業として扱う道があり、その場合は帳簿の付け方や申告の方法も変わります。会社員のままでも、確定申告が必要になる場合があります。

雇用と業務委託で何が変わるか

同じ副業でも、契約の形によって扱いが大きく変わります。ここを理解しないまま始めると、後から想定外のことが起きます。

他社に雇用される形では、労働時間が通算される考え方があります。本業と副業を合わせた時間が問題になり得るということで、会社が最も警戒するのはこの形です。

業務委託であれば、雇用関係は生じません。時間ではなく成果に対する報酬になるため、労働時間の通算という論点が出てきません。副業を認める企業でも、業務委託に限るという条件を付けることがあります。

税の扱いも変わります。雇用なら給与所得、業務委託なら事業所得または雑所得として扱われるのが一般的です。申告の方法も、控除の考え方も違います。

社会保険についても、雇用の形では一定の条件で加入の手続きが必要になることがあります。契約の形を決める段階で、税と保険の扱いまで見ておくと後が楽になります。

本業に影響が出はじめたら

副業がうまくいくほど、時間の配分が難しくなります。ここで判断を誤ると、両方を失いかねません。

兆候は分かりやすく出ます。本業で締切に遅れる、日中の集中が落ちる、休みが取れなくなる。本業の質が落ちた時点で、規程上の問題に転じます

対処は二つで、副業の量を減らすか、本業の位置づけを変えるかです。後者は転職や独立の検討につながります。

副業を通じて外の市場が見えてくると、本業の条件を相対化できるようになります。この視点は同じ仕事でも年収が違うのは制度の差で扱った話とつながります。

どちらを選ぶにせよ、判断は早いほうが選択肢が多く残ります。限界まで両立を続けてから決めると、選べる範囲が狭くなります。

時間の使い方をどう決めるか

始める前に決めておくべきなのは、収入の目標より時間の上限です。上限がないと、際限なく削られるのは睡眠と休息になります。

週に何時間までと決め、それを超えそうなら受注を断る。この線引きができるかどうかで、続くかどうかが決まります。断れない副業は、本業に持ち込む前提の仕事になっています

曜日で分ける方法もあります。平日は本業だけ、週末に副業をまとめる。切り替えの回数が減るぶん、どちらの質も保ちやすくなります。

成果物の納期を自分で選べるかも、契約時に確認する価値があります。急な依頼が入る形だと、本業の予定と衝突します。

報酬の支払いサイトも見ておいてください。納品から入金まで二か月かかる契約もあり、想定していた時期に手元に入らないことがあります。金額だけでなく、いつ支払われるかまで契約書で確認しておくと計画が狂いません。

なお、副業を始めたことで本業の働き方を見直したくなる人は少なくありません。時間の制約が具体的になると、いまの勤務条件の意味がはっきりするためです。

💡 副業を始める前に確認すること

  • 就業規則の定め。原則禁止・許可制・届出制のどれかを確認する。
  • 会社が見るのは三点。本業への支障、競合にあたらないか、情報の扱い。
  • 同業での副業は在職中の競業として問題になり得る。
  • 住民税の経路で会社に把握されることがある。隠す前提で始めない。
  • 目的を先に決める。収入か、経験か、独立の準備かで選ぶ仕事が変わる。

なお、副業で得た経験は職務経歴に書けます。本業だけでは説明できない範囲を担当していた事実は、選考の場でも材料になります。書き方は職務経歴書の記事にまとめました。

似た言葉との違い

  • 兼業 — 副業とほぼ同義。企業の規程では「副業・兼業」と併記されることが多くあります。
  • 複業 — 本業と副業の区別をつけず、複数の仕事を並行する働き方を指す言い方です。
  • ダブルワーク — 二か所で雇用される働き方を指すことが多く、業務委託を含む副業より範囲が狭い語です。
  • 内職 — 自宅で行う軽作業を指す古い言い方。雇用や委託の形式を問う現代の副業とは前提が異なります。

参考にした公的情報

この記事は、次の公的機関が公表している資料をもとに制度の枠組みを整理しています。制度の内容や金額は改正されることがあるため、実際に判断が必要な場面では、リンク先の最新の情報か、担当の窓口で確認してください。

まとめ

副業とは、本業とは別に行い、収入を得る仕事です。兼業とほぼ同義で、雇用されるかどうかによって税や社会保険の扱いが変わります。

始める前に必ず就業規則を確認してください。原則禁止・許可制・届出制のどれに当たるかで、取れる行動が変わります。

会社が見るのは、本業への支障、競合にあたらないか、情報の扱いの三点です。この三つをクリアしていると説明できれば、申請は通りやすくなります。同業での副業は在職中の競業として問題になり得るため、特に注意が要ります。

住民税の経路で会社に把握されることがあるため、隠す前提で始めるのは勧められません。そして目的を先に決めておくと、収入だけを追って時間を切り売りする状態を避けられます。

📋 この記事の要点

  • 副業は、本業とは別に収入を得る仕事。兼業とほぼ同義
  • まず就業規則。原則禁止・許可制・届出制のどれかを確認する
  • 会社が見るのは本業への支障・競合・情報の扱いの三点
  • 同業での副業は在職中の競業として問題になり得る
  • 住民税の経路で把握されることがある。隠す前提で始めない

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