「青色申告」と白色申告の違い、控除を受ける条件

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「青色申告」の意味

青色申告(あおいろしんこく)

一定の帳簿を備えることを条件に、税制上の特典を受けられる申告方法。

青色申告とは、一定水準の帳簿を備えて記録・保存することを条件に、税制上の特典を受けられる申告方法です。個人の事業者や不動産所得のある人が選べます。

名前の由来は単純で、かつて申告書の用紙が青色だったことによります。現在は用紙の色で区別されているわけではありませんが、呼び方だけが残りました。

対になるのが白色申告です。こちらは事前の申請が不要で、帳簿の要件も青色より緩やかとされています。その代わり、青色にある特典は受けられません。

どちらを選ぶかは、事前に申請したかどうかで決まります。申請していなければ自動的に白色になる、という関係です。

独立や副業を始めた人が最初に判断することになるのが、この選択です。そして選ぶには期限があるため、後回しにすると次の年まで待つことになります。

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白色申告との違い

差が出るのは主に三つの面です。

📐 二つの申告方法の違い

事前の申請

青色は承認申請が必要。白色は不要で、何もしなければ白色になる。

帳簿の要件

青色は複式簿記など一定水準を求められる。白色は簡易な記帳。

税制上の特典

青色には特別控除などの制度がある。白色にはない。

最も知られているのが特別控除です。所得から一定額を差し引ける仕組みで、帳簿の付け方と申告の方法によって金額が段階的に変わる設計になっています。

現行の制度では、複式簿記で記帳し電子申告などの要件を満たす場合が最も大きく、簡易な記帳の場合は小さくなります。具体的な金額は改正されることがあるため、申告の年に国税庁の情報で確認してください。

特典は控除だけではありません。赤字が出た場合に翌年以降へ繰り越せる仕組みや、家族へ支払う給与を経費にできる制度も、青色申告を選んだ人が使えるものとされています。

一方で、青色申告には手間がかかります。複式簿記は簿記の知識がないと難しく、これが白色を選ぶ理由になっている面もあります。

ただし近年は会計ソフトが普及し、簿記の知識がなくても複式簿記の帳簿を作れる環境が整いました。かつてほど参入の壁は高くありません。

売上が小さいうちは白色で、という考え方もあります。ただし赤字の繰り越しは、むしろ立ち上げ期にこそ効く制度です。規模で決めるより、期限を逃さないことのほうが実務では重要になります。

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申請の期限

青色申告を選ぶには、所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出します。開業届とは別の書類です。

期限は原則としてその年の3月15日まで、新たに開業した場合は開業日から2か月以内とされています。この期限を過ぎると、その年は青色申告を選べません。

つまり、年の途中で開業した人は、開業日から数えることになります。開業日の決め方については開業届の記事で扱いました。

実務では、開業届と青色申告承認申請書を同時に出すのが定番の流れです。窓口でも同時に受け付けてもらえますし、忘れる心配もなくなります。

すでに白色で申告している人が翌年から青色に変える場合は、その年の3月15日までに申請することになります。金額や適用の可否は個々の事情で変わります。判断が必要な場面では、所轄の税務署か税理士に確認してください。

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帳簿はどこまで必要か

最大の特典を受けるには複式簿記が求められるとされています。取引を借方と貸方の両面で記録する方式です。

手書きで行うのは現実的ではありません。実務では会計ソフトを使い、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで自動で仕訳する形が主流になっています。

この作業を年に一度まとめてやろうとすると破綻します。月に一度、明細を確認して分類する習慣を先に作るほうが、結果的に楽になります。

帳簿と一緒に、領収書や請求書などの書類も保存する必要があるとされています。保存の期間は書類の種類によって異なるため、まとめて長めに保管しておくのが安全です。

事業用の口座とクレジットカードを分けておくと、この作業が大幅に楽になります。私生活の支出と混ざっていると、一件ずつ判断することになります。

実務での使い方と例文

開業と同時に申請するとき

窓口で二つの書類を出す形になります。控えをもらっておくと、後で提出済みかどうかを確認できます。

例文:
「開業届と、青色申告承認申請書をあわせて提出します。開業日は◯月◯日で記入しています。控えに受付印をいただけますでしょうか」

会計ソフトを選ぶとき

複式簿記に対応しているか、口座の自動連携があるか、申告書の作成まで対応しているか。この三点が判断の軸になります。

例文:
「今年から青色申告にするので、複式簿記に対応したソフトを探しています。銀行口座とクレジットカードの明細を自動で取り込めるものだと、月次の作業が減らせます」

取引先に請求書を出すとき

帳簿の整合を保つには、発行した請求書の管理も要ります。番号を通しで振っておくと後から追いやすくなります。

例文:
「今月分の請求書をお送りします。請求番号は◯◯、支払期日は翌月末でお願いいたします。振込先は屋号名義の口座になります」

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複式簿記の帳簿を手作業で続けるのは負担が大きくなります。口座やカードの明細を取り込んで仕訳する形にすると、毎月の作業が確認と分類だけになります。

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記帳を続けるための仕組み

青色申告でつまずくのは、申告そのものではなく日々の記帳です。制度を選ぶかどうかより、続けられる形を作れるかが実際の分かれ目になります。

失敗する型は決まっています。領収書を袋にためて、年明けに一気に処理しようとする形です。数百件を一年分まとめて分類するのは、量以上に判断の負荷が重い作業になります。

半年前の支出が何のためだったかは、思い出せません。結果として「よく分からないもの」が積み上がり、経費に入れるかどうかの判断が雑になります。

対処は単純で、頻度を上げることです。月に一度、30分だけ明細を見る。この習慣があるだけで、年度末の作業がほぼ消えます。

タイミングを決めておくとさらに安定します。クレジットカードの明細が確定する日、あるいは請求書を出す日。既にある予定に紐づけると、独立した習慣を作るより続きます

会計ソフトに任せられる範囲

複式簿記が求められると聞くと身構えますが、実際に人がやる作業はそう多くありません。

口座やカードの明細は自動で取り込まれ、多くの取引は勘定科目まで自動で提案されます。人が判断するのは、提案が違うときの修正と、現金で払った分の入力です。

逆に、任せられない部分もあります。事業に関係あるかどうかの判断は本人にしかできません。同じ「書籍代」でも、事業のための資料か私的な読書かはソフトには分かりません。

選ぶときに見るべきは三点です。複式簿記に対応しているか、口座の自動連携があるか、申告書の作成まで対応しているか。申告書まで作れないと、最後に別の手段が必要になります。

受注が業務委託の形であれば、契約ごとに売上の計上時期が変わることもあります。この考え方は業務委託契約の記事で扱いました。

申告の年に確認すること

控除の額や要件は改正されることがあります。前年と同じつもりで進めると、条件を満たしていないことがあります。

特に、電子申告や電子帳簿の要件は制度の変更が続いている領域です。手続きの方法によって控除の額が変わる設計になっているため、申告の方法自体が金額に影響するという点は押さえておいてください。

申告全体の流れは確定申告の記事にまとめています。青色を選んだ場合も、手続きの土台は同じです。

途中で白色に戻せるのか

青色をやめる手続きも用意されています。取りやめの届出を出すことで、翌年分から白色に戻る扱いになるとされています。

ただし、実際に戻す人はそう多くありません。会計ソフトを導入したあとは、記帳の負荷が想定より小さいと分かるためです。

むしろ問題になるのは、青色を選んだまま記帳が滞る状態です。要件を満たさなければ、期待していた控除を受けられない可能性があります。

選ぶこと自体より、続く仕組みを作れるかどうか。判断のときにはこちらを基準にしてください。

💡 青色申告で押さえておく点

  • 選ぶには事前の申請が必要。申請しなければ自動的に白色になる。
  • 期限は原則3月15日、新規開業は開業日から2か月以内とされる。
  • 特典は控除だけではない。赤字の繰り越しや家族への給与の扱いもある。
  • 最大の控除には複式簿記が求められる。会計ソフトを使えば知識がなくても作れる。
  • 控除額は改正されることがある。申告の年に国税庁の情報で確認する。

なお、副業として始める場合、その所得が事業所得と扱われるか雑所得と扱われるかによって、青色申告を選べるかどうかが変わります。判断に迷う場合は金額や適用の可否は個々の事情で変わります。判断が必要な場面では、所轄の税務署か税理士に確認してください。

似た言葉との違い

  • 白色申告 — 事前の申請が不要な申告方法。帳簿の要件は緩やかですが、青色の特典は受けられません。
  • 確定申告 — 1年分の所得を申告する手続き全体を指す語。青色・白色はその方法の区分です。
  • 年末調整 — 勤務先が給与所得者の税を精算する仕組み。事業者が行う申告とは別のものです。
  • 開業届 — 事業を始めたことを届け出る書類。青色申告承認申請書とは別に提出します。

参考にした公的情報

この記事は、次の公的機関が公表している資料をもとに制度の枠組みを整理しています。制度の内容や金額は改正されることがあるため、実際に判断が必要な場面では、リンク先の最新の情報か、担当の窓口で確認してください。

まとめ

青色申告とは、一定水準の帳簿を備えることを条件に税制上の特典を受けられる申告方法です。事前に承認申請を出す必要があり、出さなければ自動的に白色申告になります。

白色との差は、申請の要否、帳簿の要件、そして特典の三つです。特別控除がよく知られていますが、赤字の繰り越しや家族への給与の扱いも青色を選んだ人が使える制度とされています。

申請の期限は原則3月15日、新たに開業した場合は開業日から2か月以内です。開業届と同時に出すのが定番の流れになります。

最大の控除には複式簿記が求められますが、会計ソフトを使えば簿記の知識がなくても帳簿を作れます。事業用の口座を分け、月に一度確認する習慣を先に作ると、年度末に慌てずに済みます。

📋 この記事の要点

  • 青色申告は、一定の帳簿を条件に税制上の特典を受けられる申告方法
  • 事前の承認申請が必要。出さなければ自動的に白色になる
  • 期限は原則3月15日、新規開業は開業日から2か月以内
  • 特典は控除のほか、赤字の繰り越しや家族への給与の扱いもある
  • 複式簿記は会計ソフトで対応できる。事業用の口座を分けると作業が減る

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