「請求書」の意味
請求書(せいきゅうしょ)
提供した商品やサービスの代金の支払いを求める書類。
請求書とは、提供した商品やサービスの代金について、支払いを求めるために発行する書類です。取引の内容と金額、支払いの期日と方法を示します。
意外に思われるかもしれませんが、請求書の様式に法律上の決まりはありません。手書きでもExcelでも、必要な内容が伝われば形式は問われません。
ただし、実務上は書いておくべき項目が定まっています。相手の経理が処理できる形になっていないと、確認のやり取りが増え、結果として入金が遅れます。
また、消費税の仕入税額控除に関わる場面では、記載すべき事項が制度上定められています。この点はインボイス制度の記事で扱いました。
初めて発行するときに迷うのは、様式そのものより金額の立て方と、誰が何を負担するかの部分です。ここを最初に決めておくと、以降は同じ形で回せます。
何を書くのか
相手の経理が処理できる形にするには、次の項目が要ります。
📐 請求書に載せる主な項目
宛先と発行者
相手の会社名と自分の氏名・屋号・連絡先。
取引の内容と金額
何に対していくらか。数量と単価があると確認が早い。
支払期日と振込先
いつまでに、どこへ。口座名義はフリガナまで書く。
発行日と請求書番号も付けておくと、後から追いやすくなります。番号を通しで振っておくと、帳簿との突き合わせが一気に楽になります。
取引の内容は、具体的に書くほうが通ります。「制作費一式」より「◯◯サイトの原稿執筆 5本」のほうが、相手の稟議も進みやすくなります。
振込先の口座名義は、フリガナまで記載してください。屋号名義の口座を使う場合、相手のシステムで表記が合わずに振込が止まることがあります。
登録している場合は、登録番号と税率ごとに区分した消費税額の記載も必要とされています。会計ソフトの請求書機能を使うと、この部分が自動で入ります。
相手が指定の様式を持っていることもあります。その場合は自分の形式にこだわらず、相手の様式に合わせるほうが早く進みます。
送付の方法も確認しておいてください。メールでのPDF送付が一般的になりましたが、押印した原本の郵送を求める企業もまだあります。
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📱 30日間無料で聴いてみる »振込手数料はどちらが負担するのか
初めて請求書を出すときに、必ず迷う点です。
民法の原則では、弁済にかかる費用は債務者、つまり支払う側が負担するのが基本とされています。この考え方に立てば、振込手数料は発注者側の負担です。
ただし実務では、当事者の合意で決められます。「振込手数料は貴社にてご負担ください」と書く例もあれば、受注側が負担する慣行の業界もあります。
大事なのは、契約や発注の段階で決めておくことです。請求書を出す段になって初めて論点になると、金額が合わずに支払いが止まります。
受注側が負担する場合、手数料の分だけ実際の受取額が減ります。小口の取引を数多く受けていると、この差は無視できない金額になります。
契約書に定めがあるなら、それに従います。契約まわりの確認点は業務委託契約の記事にまとめました。
源泉徴収される場合
報酬の種類によっては、支払う側が所得税を差し引いてから振り込むことがあります。原稿料、デザイン料、講演料などが対象になるとされています。
この場合、請求書に源泉徴収額を明示しておくと処理が食い違いません。請求額から源泉徴収額を引いた金額が、実際の入金額になります。
差し引かれた税は、支払う側が国に納めています。自分の税が前払いされている状態なので、確定申告で精算することになります。
年間の合計額は、支払う側が発行する支払調書で確認できます。ただし個人への発行義務は必ずしもないとされているため、自分でも記録しておく必要があります。
申告での扱いは確定申告の記事で扱いました。金額や適用の可否は個々の事情で変わります。判断が必要な場面では、所轄の税務署か税理士に確認してください。
支払サイトと資金繰り
請求書を出したら、すぐ入金されるわけではありません。ここが会社員の給与と最も違う点です。
取引には締め日と支払日があります。月末締めの翌月末払いという条件なら、月初に納品したものの入金は約2か月後です。
この期間を支払サイトと呼びます。サイトが長いほど、納品から入金までの間を自分の資金でつなぐことになるため、受注の段階で確認しておく必要があります。
特に独立した直後は、この時間差が資金の不安につながります。仕事はあるのに手元にお金がない、という状態が起こり得ます。
対策としては、開業時に数か月分の生活費を確保しておくこと、そして入金の予定を月ごとに並べて把握しておくことです。
入金があったら、どの請求に対応するものかを記録します。この作業を消込といいます。消込をしていないと、入金されていない請求に気づけないため、月に一度は照合してください。
金額が一致しないときは、振込手数料が引かれているか、源泉徴収されているかのどちらかであることが多くなります。
金額の書き方
金額の表記でつまずく人も多いので、整理しておきます。
消費税は、内税か外税かを明示してください。「◯◯円(税込)」なのか「◯◯円+消費税」なのかで、受け取る額が変わります。
口頭で金額を伝えたときに、どちらの前提で話していたかが食い違うことがあります。見積もりの段階から税込か税抜かを書いておくのが確実です。
途中で追加の作業が発生した場合、それを請求に含めるかどうかも先に決めておきます。「今回はサービスで」を繰り返すと、次から前提になります。
値引きをする場合も、金額を書き換えるのではなく、値引き額として一行立てるほうが記録として残ります。あとから経緯を追えます。
そして、単価と数量を分けて書いてください。「一式」でまとめると、次の取引で金額を上げにくくなります。何にいくらかかっているかが見えていれば、条件の交渉もしやすくなります。
実務での使い方と例文
初回の請求前に条件を確認するとき
締め日と支払日、手数料の扱い、送付方法。この三点を先に押さえます。
例文:
「初回のご請求にあたって確認させてください。締め日と支払日、振込手数料のご負担、請求書の送付方法(PDFか原本郵送か)について教えていただけますでしょうか」
支払いが遅れているとき
まず事務的な確認から入ります。処理の漏れであることも実際にあります。
例文:
「◯月◯日付でご請求した件について確認させてください。支払期日を過ぎておりますが、処理の状況をご確認いただけますでしょうか。行き違いでしたら失礼いたします」
金額の内訳を求められたとき
一式でまとめていると、後から内訳を聞かれることがあります。最初から分けておくと二度手間が減ります。
例文:
「内訳をお送りします。原稿執筆5本で◯円、図版作成2点で◯円、修正対応が2回分で◯円です。合計は請求書記載のとおりとなります」
💡 請求書で押さえておく点
- 様式に法律上の決まりはない。ただし相手の経理が処理できる形にする。
- 請求書番号を通しで振っておくと、帳簿との突き合わせが楽になる。
- 振込手数料は、民法の原則では支払う側の負担。ただし合意で決められる。
- 手数料の扱いは、請求時ではなく契約や発注の段階で決めておく。
- 報酬の種類によっては源泉徴収される。請求書に額を明示すると食い違わない。
発行した請求書は控えを保存してください。帳簿の根拠になるほか、支払いをめぐって話が食い違ったときの記録にもなります。
そもそも、受注する前に金額と範囲を書面にしておけば、請求の段階での食い違いは大きく減ります。見積書で範囲を明示しておくと、請求書はそれをなぞるだけで済みます。
支払われないとき
期日を過ぎても入金がない。独立していれば、いずれ当たる場面です。
最初にすべきは、事務的な確認です。担当者が請求書を経理に回し忘れている、様式の不備で処理が止まっている。こうした理由が実際に多くあります。
連絡は、感情を出さずに事実だけで行います。責める形ではなく、確認を求める形で連絡するという姿勢のほうが、結果として早く動きます。
それでも動かない場合は、やり取りを記録に残す形に切り替えます。電話でのやり取りも、後からメールで内容を確認する形にしておきます。
契約書があれば、支払いの条件と遅延した場合の定めを確認します。定めがなくても、法律上の遅延損害金の考え方があるとされています。
金額が大きい場合や、連絡そのものが取れなくなった場合は、専門の窓口に相談する段階です。フリーランスの取引をめぐっては、相談を受け付ける公的な窓口が設けられています。
そして次の取引からは、条件を書面で残す、着手金を設定する、といった形に見直します。同じことを繰り返さないための調整です。
取引を始める前に相手の状況を調べておくことも、無駄にはなりません。会社の登記情報は誰でも確認でき、事業の実態がつかめないまま大きな仕事を受けるリスクを下げられます。
ただし、支払いが遅れたからといって、すぐに取引を打ち切る判断が正しいとは限りません。単純な事務の遅れであることも多く、事情を確認したうえで判断してください。
似た言葉との違い
- 見積書 — 受注前に金額を提示する書類。請求書は納品後に支払いを求めるもので、時期が違います。
- 納品書 — 納めた品や内容を示す書類。金額の請求を目的としない点が異なります。
- 領収書 — 代金を受け取ったことを示す書類。請求とは向きが逆になります。
- 支払調書 — 支払った側が報酬額と源泉徴収額を記す書類。受注側が発行する請求書とは立場が逆です。
参考にした公的情報
この記事は、次の公的機関が公表している資料をもとに制度の枠組みを整理しています。制度の内容や金額は改正されることがあるため、実際に判断が必要な場面では、リンク先の最新の情報か、担当の窓口で確認してください。
まとめ
請求書とは、提供した商品やサービスの代金について支払いを求める書類です。様式に法律上の決まりはありませんが、相手の経理が処理できる形にしておかないと入金が遅れます。
載せるべきは、宛先と発行者、取引の内容と金額、支払期日と振込先です。請求書番号を通しで振っておくと、帳簿との突き合わせが楽になります。
振込手数料は、民法の原則では支払う側の負担とされていますが、実務では合意で決められます。請求の段階ではなく、契約や発注の時点で決めておいてください。
報酬の種類によっては源泉徴収されます。請求書に額を明示しておくと処理が食い違わず、確定申告での精算もしやすくなります。
📋 この記事の要点
- 請求書は、提供した商品やサービスの代金の支払いを求める書類
- 様式に法律上の決まりはない。相手の経理が処理できる形にする
- 番号を通しで振ると、帳簿との突き合わせが楽になる
- 振込手数料は原則として支払う側の負担。ただし合意で決められる
- 源泉徴収される報酬は、請求書に額を明示しておく
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