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「一難去ってまた一難」の意味と由来、ビジネスでの使い方を例文付きで解説

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「一難去ってまた一難」の意味

「一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)」とは、一つの災難や困難が、やっと過ぎ去ったと思ったら、すぐにまた別の困難が襲ってくることを表すことわざです。苦労がようやく終わってほっとする間もなく、次の苦労がやってくる——そんな、困難が立て続けに押し寄せてくる状況を言い表しています。人生や仕事には、問題が一つで終わらず、次々と続くことがある。その、なんともやりきれない実感を、リズムのよい言葉に込めた表現です。

「一難(いちなん)」とは、一つの災難、困難のこと。それが「去って」、つまり過ぎ去ったあと、「また一難」、すなわち、もう一つの困難が現れる——。同じ「一難」という言葉を、「去って」と「また」ではさんで繰り返すことで、困難が、終わったそばから、次々と連なってくる感覚を、見事に表現しています。ほっとした、まさにその瞬間に、次が来る。この「間のなさ」こそが、このことわざの、独特の味わいになっています。

この言葉が、多くの人に親しまれてきたのは、ただ苦労を嘆くだけの言葉ではないからです。同じ「一難」を二度繰り返すリズムには、どこか、苦境を笑い飛ばすような、軽やかさも感じられます。深刻にうなだれるのではなく、「まったく、一難去ってまた一難だな」と、肩をすくめてみせる。そんな、苦労との、ほどよい距離の取り方を、この言葉は教えてくれます。困難の渦中にあっても、わずかなユーモアを忘れずにいることもまた、苦境を生き抜く、大切な力の一つなのです。

現代では「トラブル対応が終わったと思ったら、今度は別のクレーム。一難去ってまた一難だ」のように、苦労が重なる状況への、ため息まじりの実感として使われます。ビジネスの現場では、まさに日常的に起こることです。一つの納期トラブルを乗り切れば、次は人手不足、それが片づけば、今度はシステム障害——。問題が、まるで順番を待っていたかのように、次から次へとやってくる。この言葉は、そんな苦境のなかでも、どこか自分を客観視し、ユーモアを失わずにいるための、一種の知恵でもあります。

🌊 一つ越えても、また次の波が来る

ひと安心する間もなく、次の困難が押し寄せてくること

一難

最初の困難

ひと安心?

…の、つかの間

また一難

次の困難が来る

困難は、一つずつ律儀には来てくれない。だからこそ、続くことを前提に構えておく。

「一難去ってまた一難」の由来・背景

このことわざは、中国の古典に出典を持つ故事成語ではなく、日本の暮らしの中から、自然に生まれたことわざと考えられています。特定の人物や書物に由来する、明確な原典は確認されていません。同じ言葉を繰り返すリズムの心地よさからも、人々の口から口へと、語り継がれてきた言葉であることが、うかがえます。

言葉の組み立ては、とてもシンプルです。「一難」という、困難を表す言葉を、「去って」「また」という、わずかな言葉でつなぐだけ。それなのに、困難が連続する、あの独特の徒労感が、驚くほど鮮やかに伝わってきます。これは、繰り返しという、日本語の表現がもつ力を、うまく生かした言い回しだといえます。

昔の人々の暮らしは、今よりもずっと、自然や運命に左右されるものでした。天災、不作、病、争いごと——。一つの苦難を、なんとかやり過ごしても、また次の苦難が、すぐにやってくる。そうした、困難が一つでは終わらない、という人生の実感が、このことわざを生み、多くの人の共感を呼んできたのでしょう。それは、嘆きの言葉であると同時に、「人生とはそういうものだ」と、腹をくくるための言葉でもありました。

興味深いのは、このことわざが、ただ悲観だけを語るのではない、という点です。困難が続くことを、あらかじめ言葉にしておくことで、人は、次の苦難が来ても、「ああ、またか」と、どこか落ち着いて受け止められるようになります。想定していれば、不意打ちにはなりません。このことわざには、困難の連続を、覚悟をもって引き受けるという、たくましい知恵が、静かに込められているのです。嘆きながらも、前を向く——そんな、庶民のしたたかさが感じられます。

このことわざが、長く使われ続けてきたのは、時代が変わっても、人の苦労の本質が、そう大きくは変わらないからでしょう。昔は天災や病が、今は仕事のトラブルや人間関係が、次々と私たちの前に立ちはだかります。形を変えながらも、困難が連なってくるという構図は、今も昔も変わりません。だからこそ、この古いことわざは、現代を生きる私たちの胸にも、すっと、まっすぐ届くのです。苦労の絶えない毎日に、そっと寄り添ってくれる——そんな、不思議な温かさを持った言葉でもあります。

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ビジネスでの使い方と例文

トラブル対応・状況報告での使い方

問題が立て続けに起こる状況を、率直に共有する場面で使えます。深刻になりすぎず、どこか自分たちを客観視する響きがあるため、張りつめた現場の空気を、ほんの少しやわらげる効果もあります。苦境を、チームで分かち合うのにも向いた言葉です。

例文:
「やっと納期トラブルが収まったと思ったら、今度は仕様変更の依頼です。まさに一難去ってまた一難ですが、一つずつ片づけていきましょう。」

振り返り・苦労話での使い方

困難続きだった経緯を、あとから振り返って語る場面になじみます。乗り越えてきた苦労を、重すぎず、しみじみと伝えられます。

例文:
「立ち上げの一年は、一難去ってまた一難の連続でした。それでも、その一つひとつが、今のチームの底力になっています。」

励まし・心構えでの使い方

困難の連続に、心が折れそうな相手を励ます場面でも効果的です。

例文:
「一難去ってまた一難に見えるかもしれません。でも、去った一難の数だけ、私たちは確実に強くなっています。」

「一難去ってまた一難」とどう向き合うか

困難が次々と続くと、人はつい、「なぜ自分ばかり」と、運の悪さを嘆きたくなります。けれど、よく考えてみれば、困難が一つも来ない人生など、どこにも存在しません。問題は、困難が来るかどうかではなく、次の一難を、どんな構えで迎えるか。そこにこそ、苦境を生き抜く力の、分かれ目があります。

💡 一難の連続に呑まれない3つの構え

  • 続くことを前提にする困難は一つで終わらないと覚悟しておけば、次が来ても動じない
  • 一つずつに集中する:先の不安まで抱え込まず、いま目の前の一難だけに力を注ぐ
  • 越えた数を数える:残る困難ではなく、すでに乗り越えてきた一難の数に目を向ける

とくに支えになるのが、「越えた数を数える」という見方です。一難去ってまた一難の渦中にいると、どうしても、まだ来ていない困難ばかりに、目が向きがちです。けれど、視点を変えてみれば、あなたは、すでにいくつもの一難を、現に乗り越えてきたのです。去っていった一難の数こそ、あなたが強くなってきた証にほかなりません。次の波を恐れる前に、これまで越えてきた波の数を、一度、振り返ってみてください。きっと、思っているより、ずっと多いはずです。

もう一つ、心に留めておきたいのが、「一つずつに集中する」という構えです。困難が続くと、私たちはつい、まだ起きてもいない次の一難、その次の一難まで、頭の中で先回りして、勝手に抱え込んでしまいます。けれど、いま手をつけられるのは、目の前の一難、ただ一つだけです。先の不安まで一度に背負えば、心は、たちまち押しつぶされてしまいます。まず、いまの一つ。それを越えたら、また次の一つ。そうやって、困難を一つずつに分けて向き合うことが、一難去ってまた一難の波を、乗りこなしていく、確かなコツなのです。

誤用に注意・使い方のポイント

気をつけたいのは、このことわざが「困難が、続けざまに起こる」ことを表す言葉だという点です。一つの大きな困難だけを指して使うのは、ややずれます。あくまで、一つが過ぎたあと、間を置かず、また別の困難が来る、という「連続」が、この言葉の核心です。困難が重なってこそ、「一難去ってまた一難」が、生きてきます。

読み方は「いちなんさってまたいちなん」。ややネガティブな状況で使う言葉ですが、前述のとおり、深刻になりすぎず、どこか自分を客観視する、ユーモラスな響きも持っています。苦境のなかでも、この言葉を口にできるかどうかは、心の余裕の、一つのバロメーターかもしれません。なお、よく似た「泣きっ面に蜂」は、不運に不運が「重なる」ことを指し、困難が「続く」一難去ってまた一難とは、少しニュアンスが異なります。

類語・対義語

類語

  • 泣きっ面に蜂(なきっつらにはち) — 泣いている顔を、さらに蜂が刺すように、不運の上に不運が重なること。困難が重なる点で通じる。
  • 弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ) — 弱っているときに、さらに悪いことが起こること。苦境が続く点で似ている。
  • 降れば土砂降り — 雨が降れば、どうせ土砂降りになるように、悪いことは重なって起こるものだということ。

対義語

  • 順風満帆(じゅんぷうまんぱん) — 物事が、すべて順調に進むこと。困難が続く一難去ってまた一難とは正反対の状態。
  • 万事休す…ではなく「平穏無事」 — 何事もなく、穏やかに過ぎること。困難の連続と対になる、安らかな状況。

まとめ

📋 この記事の要点

  • 意味: 一つの困難が過ぎたと思うと、すぐにまた別の困難が襲ってくること
  • 由来: 中国古典ではなく、日本の暮らしから生まれたことわざ。「一難」の繰り返しが核心
  • 使い方: トラブル続きの状況報告、苦労話の振り返り、励ましの場面で
  • 注意: 困難が「重なる」より「続く」ことを表す。客観視するユーモアも込められる

「一難去ってまた一難」は、日本の暮らしから生まれたことわざで、一つの困難が過ぎ去ったと思うと、間もなく次の困難が襲ってくることを表します。嘆きの言葉でありながら、困難の連続を覚悟して引き受ける、たくましい知恵も込められています。

大切なのは、困難が続くことを前提に構え、一つずつ向き合い、越えてきた数に目を向けること。何度倒れても立ち上がる「七転び八起き」や、災いも転じうると教える「塞翁が馬」とあわせて読むと、逆境に折れない心の保ち方が見えてきます。

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